2012年4月10日火曜日

“ドイツ発ドキュメンタリー、フクシマの真実を!“1

「無限遠点」という
ブログがあります。
今年の2月中旬から
書き始めたブログで
梶川ゆうさんという
ドイツ在住の方が
書いておられます。

その中で
紹介されている
ドイツのテレビ局の作品で
「フクシマの嘘」という
ドキュメンタリー作品を
共有してください。
もう既に
20万人の方たちが
視聴した作品だそうです。

梶川さんが翻訳をして
日本語の字幕を
つけてくださいました。
有難いことです。

さらに
フランスとドイツの
合作で製作された
「フクシマ最悪事故の
陰に潜む真実」も翻訳
されて、日本語の字幕で
映像が見ることが
できます。

真実を伝えたいという
梶川さんの情熱を
感じる労作です。
是非、ご覧になってください。
長いので
二回に分けて
掲載させて
いただきます。


ドキュメンタリー「フクシマの嘘」日本語字幕付き

ドイツ第二テレビ放送製作

http://www.dailymotion.com/video/xpisys_yyyzdf-yyyyyyy_news

フクシマ事故が起こって1年。フクシマだけではない原子力ムラの実態をZDF(ドイツ第二テレビ放送)の記者ハノ氏が取材して30分のドキュメンタリーにまとめたもの。これを字幕用に翻訳し、その翻訳を、これまでにもいろいろな海外のフクシマに関するドキュメンタリーの日本語訳紹介に務めてきた友人の知り合い(私は面識はない)が映像に載せて、それをデイリーモーションにアップしてくれた。

新しい事実はないが、菅の独占インタビューなども出てくるし、それなりによくまとめられていると思う。

私はこういうドキュメンタリーや記事を翻訳することで何かの役に立てれば言うことはないし、だからこの作業も引き受けたのだが、なんだかこういう仕事を続けていることに「空しさ」を覚えるのが正直な気持ちだ。空しさ、というのは、つまり「外国の記者などにこうして実情を報道」され、日本のいわば恥、汚点がこれだけあからさまにされても、日本はこうも変わらないか、しかも日本人はそれでもただ他人事のように今の状況を見ているだけなのか、と思うと情けなくなって更に落ち込んでしまうからだ。震災から1年、もう原子力ムラのひどさも、利権の浅ましさも、政治家と官僚の罪も、マスコミのお粗末さも、学者の悪徳ぶりもわかったのではないか? それならなぜ、なにも起こらないのだろう。そして、これだけたくさんの人間がそれでもこうした「海外の報道」を翻訳して紹介しようとするのは、「海外から圧力がかかり、日本を救ってほしい」という他力本願の現われではないのか、と思えて仕方がない。しかし、「助け」を待っていても誰も助けには来てくれないし、自分が動かなければなにも動かない、自分以外の誰も自分の利益のための行動も発言もしてはくれないのだと、全員が思って言動できるようにならなければ、日本は変わるわけがない。こんな遠くにいて、私にはなにができるのだろう、と頭を抱えてしまう。(ゆう)

00.13 我々は放射能から身を守り、警察から外人と見破られないよう
00.18 防護服を着こんだ。
汚染され、破壊した原発が立っているのは立ち入り禁止区域だ。
そこに連れて行ってくれることになっている男性と落ち合った。
なにが本当にそこで起きているか、彼に見せてもらうためだ。
ナカ・ユキテル氏は原子力分野のエンジニア会社の社長で
00.44 もう何十年間も原発サイトに出向いて働いてきた。
フクシマでも、だ。
私たちは見破られず、無事チェックポイントを通過した。
00.54 作業員たちが作業を終え、原発から戻ってきたところだった。
3月11日に起こったことは、これから日本が遭遇するかもしれぬことの
01.03 前兆に過ぎないのかもしれないことが次第にわかってきた。
そしてその危険を理解するには、過去を理解することが必要だ。
01.22(タイトル)フクシマの嘘
監督ヨハネス・ハノ
私たちは立ち入り禁止区域の中、事故の起きた原発から約7キロ離れたところにいる。
ナカ氏はここで生活をし
フクシマ第一とフクシマノ第二の間を股にかけて仕事をしてきた。
ナカ氏と彼の部下は、何年も前から原発の安全性における重大な欠陥について注意を喚起してきた。
しかし、誰も耳を貸そうとしなかった。
私の話を聞いてくれた人はほんのわずかな有識者だけで
その人たちの言うことなど誰も本気にしません。
日本ではその影響力の強いグループを呼ぶ名前があります。
原子力ムラ、というのです。
彼らの哲学は、経済性優先です。
この原子力ムラは東電、政府、そして
02.29 大学の学者たちでできています。
彼らが重要な決定をすべて下すのです。
私たちは東京で菅直人と独占インタビューした。
彼は事故当時首相で、第二次世界大戦以来
02.48 初の危機に遭遇した日本をリードしなければならなかった。
彼は唖然とするような内容を次々に語った、たとえば
首相の彼にさえ事実を知らせなかったネットワークが存在することを。
マスメディアでは彼に対する嘘がばらまかれ
彼は辞任に追い込まれた。
彼が原子力ムラに対抗しようとしたからである。
最大の問題点は、3月11日が起こるずっと前にしておかなければ
いけないものがあったのに、なにもしなかったことです。
原発事故を起こした引き金は津波だったかもしれないが
当然しておくべき対策をしなかったことが問題なのです。
この過失は責任者にあります。
つまり、必要であったことをしなかった、という責任です。
では原発事故の原因は地震と津波ではなかったのか?
原子力ムラの足跡を辿っていくと、
嘘、仲間意識と犯罪的エネルギーの網の目に遭遇する。
調査は2つの大陸にまたがった。
まずカリフォルニアに飛んだ。
04.04 目的地はサン・フランシスコである。
私たちはある男性と話を聞く約束をしていた。
04.24 彼は長年原子炉のメンテナンスの仕事で
フクシマにも何度も来ており
かなり深刻なミスや事故を東電が隠蔽するのに遭遇した。
04.36 フクシマの第1号原子炉は70年代初めに
アメリカのジェネラルエレクトリック社が建設し
それ以来アメリカのエンジニアが点検を行ってきた。
そしてフクシマでは何度も問題があった。
東電は、点検後、なにをあなたに求めたのですか?
亀裂を発見した後、彼らが私に言いたかったことは簡単です。
04.59 つまり、黙れ、ですよ。
何も話すな、黙ってろ、というわけです。
問題があるなど許されない
日本の原発に問題など想定されていない
アメリカのエンジニア、ケイ・スガオカ氏も
それを変えようとすることは許されなかった。
05.25 1989年のことです、蒸気乾燥機でビデオ点検をしていて
05.34 そこで今まで見たこともないほど大きい亀裂を発見しました
スガオカ氏と同僚が発見したのは、それだけではない。
原子炉を点検している同僚の目がみるみる大きくなったと思うと
05.51 彼がこう言いました
蒸気乾燥機の向きが反対に取り付けられているぞ、と。
もともとこの原発の中心部材には重大な欠陥があったのだ。
スガオカ氏は点検の主任だったので
正しく点検を行い処理をする責任があったのだが
彼の報告は、東電の気に入らなかった。
私たちは点検で亀裂を発見しましたが、東電は
私たちにビデオでその部分を消すよう注文しました。
報告書も書くな、と言うのです。
私はサインしかさせてもらえませんでした。
私が報告書を書けば、180度反対に付けられている蒸気乾燥機のことも
06.33 報告するに決まっていると知っていたからです。
06.36 では、嘘の文書を書くよう求めたわけですか?
そうです、彼らは我々に文書の改竄を要求しました。
スガオカ氏は仕事を失うのを怖れて、10年間黙秘した。
06.49 GE社に解雇されて初めて彼は沈黙を破り
日本の担当官庁に告発した。
ところが不思議なことに、告発後何年間もなにも起こらなかった。
日本の原発監督官庁はそれをもみ消そうとしたのだ。
07.11 2001年になってやっと、スガオカ氏は「同士」を見つけた。
それも日本のフクシマで、である。
18年間福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏は
当時の日本の与党、保守的な自民党所属だ。
佐藤氏は古典的政治家で
皇太子夫妻の旅に随行したこともある。
始めは彼も、原発は住民になんの危険ももたらさないと確信していた。
それから、その信頼をどんどん失っていった。
福島県の原発で働く情報提供者から約20通ファックスが届き
08.00 その中にはスガオカ氏の告発も入っていました。
経産省は、その内部告発の内容を確かめずに
これら密告者の名を東電に明かしました。
それからわかったことは、私も初めは信じられませんでした。
東電は、報告書を改竄していたというのです。
それで私は新聞に記事を書きました。
08.24 そんなことをしていると、この先必ず大事故が起きる、と。
それでやっと官僚たちもなにもしないわけにはいかなくなり
08.33 17基の原発が一時停止に追い込まれた。
調査委員会は、東電が何十年も前から重大な事故を隠蔽し
安全点検報告でデータを改竄してきたことを明らかにした。
それどころか、フクシマでは30年も臨界事故を隠してきたという。
社長・幹部は辞任に追い込まれ、社員は懲戒を受けたが
皆新しいポストをもらい、誰も起訴されなかった。
09.00 一番の責任者であった勝俣恒久氏は代表取締役に任命された。
彼らは佐藤氏に報告書の改竄に対し謝罪したが
佐藤氏は安心できず、原発がどんどん建設されることを懸念した。
そこで佐藤氏は日本の原発政策という
「暗黙のルール」に違反してしまった。
09.30 2004年に復讐が始まった。
09.37 12月に不正な土地取引の疑いがあるという記事が新聞に載りました。
この記事を書いたのは本来は原発政策担当の記者でした。
この疑惑は、完全にでっち上げでした。
09.52 弟が逮捕され
首相官邸担当の検察官が一時的に福島に送られて検事を務めていた。
10.00 彼の名はノリモトという名で
遅かれ早かれ、お前の兄の知事を抹殺してやる、と弟に言ったそうです。
事態は更に進み、県庁で働く200人の職員に
圧力がかかり始めました。
少し私の悪口を言うだけでいいから、と。
中には2、3人、圧力に耐え切れずに
自殺をする者さえ出ました。
私の下で働いていたある部長は、いまだ意識不明のままです。
それで、同僚や友人を守るため、佐藤氏は辞任した。
裁判で彼の無罪は確定されるが
しかし沈黙を破ろうとした「邪魔者」はこうして消された。
これが、日本の社会を牛耳る大きなグループの復讐だった。
そしてこれこそ、日本で原子力ムラと呼ばれるグループである。
ここ10~20年の間、ことに原子力の危険を訴える人間に対する
あらゆる形での圧力が非常に増えています。
大学の研究者が原発には危険が伴うなどとでも言おうものなら
出世のチャンスは絶対に回ってきません。
政治家はあらゆる援助を電力会社などから受けています。
しかし、彼らが原発の危険性などを問題にすれば、
そうした援助はすぐに受けられなくなります。
反対に、原発を推進すれば、多額の献金が入り込みます。
それは文化に関しても同じで
スポーツやマスコミも含みます。
このように網の目が細かく張りめぐらされて
原発に対する批判がまったくなされない環境が作り上げられてしまいました。
ですから原子力ムラというのは決して小さい領域ではなくて
国全体にはびこる問題なのです。
誰もが、この原子力ムラに閉じ込められているのです。
東電から献金を受け取っている
11.58 100人以上の議員に菅首相は立ち向かった。
その中には前の首相もいる。やはり彼と同じ政党所属だ。
ネットワークは思う以上に大きい。
多くの官僚は定年退職すると、電事業関連の会社に再就職する。
12.12 1962年以来東電の副社長のポストは
原発の監査を行うエネルギー庁のトップ官僚の指定席だ。
これを日本では天下り、と呼んでいる。
しかし反対の例もある。
12.32 東電副社長だった加納時男氏は当時与党だった自民党に入党し
12.36 12年間、日本のエネルギー政策を担当し
それからまた東電に戻った。
このネットワークについて衆議院議員の河野太郎氏と話した。
河野氏の家族は代々政治家で
彼の父も外相を務めた。
彼は、第二次世界大戦後日本を約60年間に渡り
支配した自民党に所属している。
原発をあれだけ政策として推進してきたのは自民党である。
誰も、日本で原発事故など起こるはずがない、と言い続けてきました。
だから、万が一のことがあったらどうすべきか、という準備も
一切してこなかったのです。
それだけでなく、原発を立地する地方の行政にも
危険に対する情報をなにひとつ与えてこなかった。
いつでも、お前たちはなにも心配しなくていい
万が一のことなど起こるはずがないのだから、と。
彼らはずっとこの幻想をばらまき事実を歪曲してきた
そして今やっと、すべて嘘だったことを認めざるを得なくなったのです。
この雰囲気が2011年3月11日に壊れた。
日本がこれまでに遭遇したことのない大事故が起きてからだ。
13.52 14時46分に日本をこれまで最大規模の地震が襲った。
マグニチュード9だった。
しかし、地震は太平洋沖で始まったその後の
ホラーの引き金に過ぎなかった。
時速数百キロという激しい波が津波となって
日本の東部沿岸を襲った。
津波は場所によっては30メートルの高さがあり
町や村をのみこみ消滅させてしまった。
約2万人の人がこの津波で命を失った。
そしてフクシマ第一にも津波が押し寄せた。
ここの防波堤は6メートルしかなかった。
津波の警告を本気にせず
処置を取らなかった東電や原発を監査する当局は
警告を無視しただけでなく、立地場所すら変更していたのだ。
もともとは、原発は35mの高さに建てられる予定でした。
しかし標高10mの位置で掘削整地し
そこに原発を建設したのです、低いところの方が
16.01 冷却に必要な海水をくみ上げやすいという理由で。
東電がはっきり、この方が経済的に効率が高いと書いています。
巨大な津波が、地震で損傷を受けたフクシマ第一を完全ノックアウトした。
まず電源が切れ、それから
非常用発電機が津波で流されてしまった。
あまりに低い場所に置いてあったからである。
電気がなければ原子炉冷却はできない。
法律ではどの原発も非常用電源センターを用意することが義務付けられています。
フクシマ第一ではその電源センターが原発から5キロ離れたところにあります。
これは津波の後、1分と機能しなかった。
それは職員が地震があったために、そこにすぐたどりつけなかったからです。
それで電源は失われたままでした。
こうして送電に必要な器具はすべて作動しませんでした。
つまり非常用電源センターは、本当の非常時になんの機能も果たさなかったということです。
法律では原発事故と地震が同時に起こるということすら想定しいなかったのです。
菅直人はこの時、原発で起こりつつある
非常事態について、ほとんど情報を得ていなかった。
首相である彼は、テレビの報道で初めて、
17.11 フクシマ第一で爆発があったことを知ることになる。
東電からは、その事故の報道があって1時間以上経っても
なにが原因でどういう爆発があったのかという説明が一切なかった。
あの状況では確かに詳しく究明することは難しかったのかもしれないが
それでも東電は状況を判断し、それを説明しなければいけなかったはずです。
しかし、それを彼らは充分に努力しませんでした。
17.41 2011年3月15日、災害から4日経ってもまだ
東電と保安院は事故の危険を過小評価し続けていた。
しかし東電は官首相に内密で会い、
職員をフクシマ第一から撤退させてもいいか打診した。
今撤退させなければ、全員死ぬことになる、というのだ。
それで私はまず東電の社長に来てもらい
撤退はぜったい認められない、と伝えた。
誰もいなくなればメルトダウンが起き
そうすれば莫大な量の放射能が大気に出ることになってしまう。
そうなってしまえば広大な土地が住めない状態になってしまいます。
18.22 菅は初めから東電を信用できず
18.25 自分の目で確かめるためヘリコプターで視察した。
18.28 しかし首相である彼にも当時伝えられていなかったことは
18.31 フクシマの3つの原子炉ですでにメルトダウンが起きていたということだ。
18.35 それも災害の起きた3月11日の夜にすでに。
18.40 東電の報告にも、東電を監査していた保安院の報告にも
18.44 燃料棒が損傷しているとか
メルトダウンに至ったなどということは一言も書かれていなかった。
18.55 3月15日には、そのような状況にはまだ至っていないという報告が私に上がっていました。
事故からほぼ1年が経った東京。
世界中であらゆる専門家が予想していたメルトダウンの事実を
東電が認めるまでなぜ2ヶ月も要したのか、私たちは聞こうと思った。
自然災害が起きてからすぐにこの原発の大事故は起きていたのである。
19.28 「原子炉1号機、2号機そして3号機でメルトダウンになったことを、東電はいつ知ったのですか」
19.35 「私どもは目で見るわけにはいきませんが
上がってきましたデータをもとに自体を推定し
燃料棒が溶けおそらく圧力容器の底に溜まっているだろう
という認識に達したのは5月の初めでした。」
膨大なデータに身を隠そうとする態度は今日も変わらない。
東電は、毎日行う記者会見でこれらのデータを見せながら、事態はコントロール下にあると言い続けている。
20.00 しかしこれらのデータの中には、本当に責任者たちは
何ををしているのか解っているか、疑いたくなるような情報がある。
たとえばスポークスマンはついでのことのように
放射能で汚染された冷却水が「消えてしまった」と説明した。 
理由は、原発施設ではびこる雑草でホースが穴だらけになっているという。
「放射能で汚染された水を運ぶホースが
雑草で穴が開くような材料でできているというのですか?」
20.34 「草地に配管するのは私たちも初めてのことですが
穴があくなどのことについては知見が不十分だったと思っています。」
しかし原発の廃墟をさらに危険にしているのは
雑草だけではない。
私たちは富岡町に向かった。
ゴーストタウンだ。
原発廃墟のフクシマ第一から7キロのところにある。
私たちはナカ氏に便乗した。
彼のような住民は、個人的なものをとりに行くためだけに
短時間だけ帰ることが許されている。
21.20 彼は、地震に見舞われた状態のまま放り出された会社を見せてくれた。
今では放射能のため、ここに暮らすことはできない。
この木造の建物はとても快適でした。
とても静かで、夏は涼しく、冬は暖かかった。
私たちは皆ここで幸せに暮らしていました。
21.48 80人の原発専門のエンジニアが彼のもとで働いており
原発事故後も、事故をできるだけ早く収束しようと努力している。
ナカ氏と彼の社員は、原発廃墟で今本当になにが起きているのか知っている。
私たちの最大の不安は、近い将来、
廃墟の原発で働いてくれる専門家がいなくなってしまうことです。
あそこで働く者は誰でも、大量の放射能を浴びています。
どこから充分な数の専門家を集めればいいか、わかりません。
しかし、まだ被爆していない原発の専門家を集めなければ
事故を収束するのは不可能だ。
例えこれから40年間、充分な専門家を集められたとしても
日本も世界も変えてしまうことになるかもしれぬ
ある1つの問題だけは残る。
今原発は安全なのですか?
そう東電と政府は言っていますが
働いている職員はそんなことは思っていません。とても危険な状態です。
私が一番心配しているのは4号機です。
この建物は地震でかなり損傷しているだけでなく
この4階にある使用済み燃料プールには
約1300の使用済み燃料が冷却されています。
その上の階には新しい燃料棒が保管されていて
非常に重い機械類が置いてあります。
なにもかもとても重いのです。もう一度大地震が来れば
建物は崩壊してしまうはずです。
そういうことになれば、また新たな臨界が起こるでしょう。
このような臨界が青空の下で起これば
日本にとって致命的なものとなるだろう。
放射能はすぐに致死量に達し、原発サイトで働くことは不可能となる。
そうすれば高い確率で
第1、2、3、 5、 6号機もすべてが抑制できなくなり
24.03 まさにこの世の終わりとなってしまうだろう。
東京で著名な地震学者の島村英紀氏に会った。
24.15 2月に東大地震研が地震予知を発表したが
それによれば75%の確立で4年以内に
首都を直下型地震が襲うと予測されている。
このような地震があった場合に原発が壊滅して
24.36 確立はどのくらいだとお考えですか?
-はい、とても確率は高いです。 
-どうしてですか?
計測している地震揺れ速度が、これまでの予測よりずっと速まってきています。
私たちはここ数年千以上の特別測定器を配置して調査してきましたが
24.52 それで想像以上に地震波が強まり、速度も増していることがわかったのです。
これは日本の建築物にとって大変な意味を持つだけでなく
25.00 原発にとっても重大な問題となることを島村氏は説明する。
これが原発の設計計算です。
将来加速度300~450ガルの地震が来ることを想定しています。
そして高確率で発生しないだろう地震として600ガルまでを想定していますが
この大きさに耐えられる設計は原子炉の格納容器だけで
原発のほかの構造はそれだけの耐震設計がされていないのです。
しかし私たちの調査では、最近の地震の加速度がなんと
25.44 4000ガルまで達したことがわかっています。
想定されている値よりずっと高いのです。
電気会社は、それを知って増強をしなかったのですか?
今のところ何もしていません、不十分であることは確かです。
これだけの地震に耐えられるだけの設計をしようなどというのは
ほとんど不可能でしょう。
ここは原発廃墟から60キロ離れた場所だ。
フクシマ災害対策本部では東電、保安院、福島県庁が共同で
原発の地獄の炎を鎮火するための闘いの調整をはかっている。
私たちは東電の災害対策部責任者にインタビューした。
ことに彼に訊きたいのはどうやって今後
これだけ損傷している原発を大地震から守るつもりなのか、ということだ。
ことに、危ぶまれている4号機について訊いた。
26.39 4号機の使用済み燃料プールには夥しい量の使用済み燃料が入っています。
これをすべて安全に保つためには、燃料プールの増強が必要です
燃料プールのある階の真下に、新しい梁をつけました。
原発はほとんど破壊したといってもいいわけですが
26.54 原発が健在だった1年前ですら大地震に耐えられなかった構造で
26.58 どうやって次の地震に備えるつもりなのでしょうか?
我々は耐震調査を4号機に限らず全体で行いました。
その結果、問題ないという判断が出ています。
でも地震学者たちは4000ガルまでの地震加速度が測定されていて
これだけの地震に耐えられるだけの原発構造はないと言っています。
半壊状態のフクシマの原発の真下でそのような地震が来ても
全壊することはないと、なぜ確信がもてるのですか?
その4000ガルという計算は別の調査ではないでしょうか
それに関しては、私は何とも言いかねます。
原発を日本で稼動させるだけの心構えが
27.44 東電にできているとお考えですか?
それは答えるのが難しいですね。
これがやってきたことの結果です。
この結果を人類はちゃんと知るべきだと思います。
一緒に未来の政策をつくっていくことができるように

フクシマをめぐる沈黙、嘘、隠蔽

ARD(ドイツ第一放送、日本語字幕付き)

今度は6分くらいの短いレポートの動画を翻訳して、この前「フクシマのうそ」の字幕を動画につける作業をしてくれた人にまたつけてもらい、それをYoutubeにアップしてもらった。
http://youtu.be/nLgouGEzOgc

ARD(ドイツ公共放送)メディアテーク

フクシマをめぐる日本の沈黙、嘘、隠蔽

日本に大地震と津波が起きてからまもなく一年。
これが福島第一原発事故を引き起こし
日本の神話をいくつか壊すこととなりました。
原発が安全だという神話や
技術でなにごとも統治できるという神話です。
今日本では、政府や電気会社は、新しい神話を浸透させようとしているようです。
すべてコントロール下にあり、事故は収束したという神話です。
共同の忘却が求められているわけです。
そして54基もある原発からの
部分的撤退が決定されたものの最高60年まで
稼動期間延長が認可されて実質的に骨抜きにされています。
でも反対運動が起きています。
(ここから映像がチェックポイントに変わる)
ここは別世界へ続く門だ。
防護服を着ている人にだけ、開かれる門。
渡辺氏は浪江町の議員を務めている。
浪江町は福島県の立ち入り禁止区域で、ゴーストタウンだ。
渡辺氏の仕事は、なるべく早く住民が故郷に帰還できるよう
除染の進行をチェックすることだ。
渡辺氏の道中に同行し
現実とは思えぬこの町を映像に撮った。
ここは寒く、人っ子一人いない、そして危険だ。
ここは24ミリシーベルトある。
浪江でもこれほど高いところはまずない。
谷底に見えるのは、ほとんどの日本人が今注目しているものだ。
立ち入り禁止区域から放射能にまみれた材木などを
ここに運んできて、それで福島から避難してきた
人たちのための仮設住宅を建てたという。
スキャンダルとしか言えぬ原発事故の対処方法はあとを絶たない。
日本政府が今年目論んでいる計画はしかし、たくさんある。
春からは警戒区域を少しずつ解除していき
放射能の地獄の代わりに日常生活を戻そうという。
ここ「ツチマ」でも除染隊が作業中だ。
彼らは町の区域全体を除染する使命を負っている。
道路、住宅、公共施設。
放射能の汚染の80%削減が目標だ。
しかしこの作業が、期待しているだけの成果をもたらすかは
誰にも分からない。
行動主義でごまかしているが、経験は誰にもない。
これが今日除染する区域です。
町民ホール、保育園、中学校、そして住宅地。
これが石井家のお宅で、ここは加藤家。
なにもかも高圧洗浄器で洗浄して
草はむしりとり、木は切り倒し
汚染された土を撤去します。
ここは東京の東電本社。
本社は二重に警備されている。
まずは警察の警備と、東電が雇うガードマンの警備だ。
彼らは警戒区域の大変な仕事からは遠く距離を置いている。
除染は政府と福島の地方自治体の仕事であり
東電が担当するのは原発だけだ、と言うのである。
そして東電からも、今後はいいニュースしか出さないつもりだ。
いつものようにインタビューができるのを門の前で待った。
03.02 東電は去年の暮れ、原子炉の「冷温停止」を誇らしげに発表した。
原子炉の温度は低温に保たれ
燃料棒は充分に冷却され、すべてコントロール下だ、と言う。
まだやらなければならないことはたくさんありますが
とにかく重大なステップをこなすことができました。
原発は今管理下にあり、状態は安定しています。
03.27 本当にそうなのだろうか?
雪と塵が舞い続けるようなこの画像から
放射能が映像信号を妨げていることがわかる。
原発作業員は2号機の格納容器内部に内視鏡を入れ
03.41 撮影することに成功した。
これで東電はどのくらい水位が原子炉にあり
燃料棒が充分冷却されているか確認しようとした。
これでは何もはっきりとわからないのだが
東電が毎日行っている記者会見では、このブレの多い画像を
どうやら大成功として位置づけたいようだ。
今は原子炉からはほとんど放射能が出ていません。
04.07 先日は冷却システムで短期間停電がありましたが
それもすぐにまた修理することができました。
ですから福島の住民たちにはもう危険はないものと思います。
安定、もう危険はない、それ一点張りだ。
原発推進派はわずかで不正な情報を更に
過小評価することに徹している。
東京都知事は水を飲んでみせ
飲料水にも野菜果物にセシウムの心配はないとアピールする。
政府のスポークスマン枝野は福島産のトマトをかじって見せた。
そして園田政務官にいたっては原発浄化水を飲んで見せた。
原発ロビーはありとあらゆる方法で闘っている。
福島のことはできるだけ早く過去のものとして葬りたい。
このセクターで彼らはまた金稼ぎがしたいのだ。
05.00 将来の計画はすでに出来上がっている。
浜岡原発。ここは東京から200キロしか離れていない。
この原発は建設からすでに40年経っており
しかも地震プレート上に建っているため危険性がよく知られている。
福島事故があったショックで浜岡原発は停止されたが
この原発の情報センターでは今にも原発が再稼動しそうな気配だ。
色とりどりのショー
子供たちには中性子の漫画を見せ
大人にはいい情報だらけのビデオを見せて
浜岡原発はまた再稼動する、とはっきり言っているのだ。
設備を増強し、基礎をもっと丈夫にし
津波防波堤を高くし、完全防水のドアにするという。
そうしてスポークスマンは、住民の方たちに
安心していただけるように努力を続けています、と主張する。
(浜岡の電気会社スポークスマンの画像)
私どもの作業員が今年一杯増強工事をしまして
来年からは、世界一安全性の高い原発となって再稼動できるでしょう。

浜岡原発の過小評価、そしてフクシマの汚いトリック。
06.00 ジャーナリストの鈴木智彦氏はそれに抵抗して闘っている。
彼は事故を起こした福島の原発に普通の作業員として
潜入し一ヶ月働いた。
そう遠くまで行く必要はないんです。
東京から車で2時間も走れば世界で一番危険な区域に入れます。
僕はそれを自分の目で見てみたかったんです。
彼は腕時計についた隠しカメラで自分の体験を撮影した。
毎日作業のために原発に向かう。
廃墟となった原子炉や、放射能で汚染された
冷却水を溜めたタンクが並ぶのを横に見る
あんなに得意げに東電が公表した「冷温停止」など
おとぎ話ですよ、と鈴木氏は言う。
年が明けて、いいことばかりを見せたかったのでしょうが
あまりに大急ぎにいい加減な取付をしてしまった
と鈴木氏は語る。冷却回路はどこもかしこも

安上がりのプラスチック製
ホースはストローみたいに薄い材料でできているので
冬になればそれが凍ってあちこちから汚染水が漏れるでしょう
原発での作業は殺人的だ。
防護服に防護マスク、それにヘルメット。
これで毎日4時間作業をする。これ以上長くは誰ももたない。
作業員は皆、過労、めまいを訴える。
これは放射能のせいではないかと皆、危惧している。
原発の放射能チェックは鈴木氏を含め作業員の
全員を何の問題もなくどんどんパスさせていく。
作業員の被爆量をはっきり把握しようなどという
気は東電には一切ないのです、と鈴木氏は語る。
原発には管理下にあるものなどありません。
原子炉のある建物は放射能が強すぎて入れません。 
だから実際どうなっているかもわからないし
溶けた燃料棒をあとからどう取り出していいかもわからない。
あれだけ作業員は必死で働いていますが
フクシマに関しては、解決策は出ていないのです。
08.00 原発にはなんの解決策もないのか?
でも、避難民の最初のグループがもうすぐ帰還の予定だ。
浪江町議員の渡辺氏は懐疑的だ。
ゴーストタウンとなっているこの町に活気が戻るまで
本当は何年も待つべきなのではないだろうか。
それでやっと危険が判断できるようになるのではないだろうか。
08.20 原子力ロビーはしかしあと数週間でその状態にするつもりだ。

続く

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