2012年3月8日木曜日
“心満たされる豊かさ!”
昨日は
萬谷 衣里さんの
ピアノリサイタルに
行ってきました。
萬谷さんの
パンフレットの
プロフィールを見ますと
東京藝術大学、
同大学院修了。
ローム、ヤマハの
各音楽の財団の奨学生として
ロストック音楽・演劇大学にて
研鑽を積み、ドイツ国家
演奏家資格を取得。
2010年イタリアの
カサグランデ国際ピアノ
コンクール最高位受賞。
リスト、シューベルト、
ルーマニアの各国際
コンクールで優勝、入賞。
国内の他、ドイツ、イタリア、
フランス、ポーランド等で
オーケストラとの共演、
音楽祭、リサイタルへ出演し、
いずれも高い評価を得る。
2011年11月、
デビューアルバム
「イースト・サイド・ラプソティ~
リスト&エネスク」をリリース、
現在ロスティック音楽・
演劇大学非常勤講師。
とあります。
萬谷さんは
ドイツに住んでいて
今回のリサイタルは
萬谷さんの母校である
東京藝術大学より推薦され、
奏楽堂デビューコンサート
シリーズ出演の運びと
なりました。
このリサイタルの
会場である奏楽堂は
旧東京音楽学校奏楽堂と
看板に掲げられています。
上野公園内にある
明治23年に創建された
日本最古の木造の
洋式音楽ホールで
重要文化財に指定されています。
二階にある音楽ホールは、
かつて滝廉太郎が
ピアノを弾き、
山田耕筰が歌曲を歌い、
三浦環が日本人による
初のオペラ公演で
デビューを飾った
由緒ある舞台です。
大変奥ゆかしさを感じる
素晴らしいホールです。
来年の4月からは
この奏楽堂での演奏や
入館ができなくなるそうです。
通常は
コンサート以外では
本居 長世
(もとおり ながよ)
常設展示室が開設
されています。
大人300円
小・中学生100円で
入館で来ます。
本居 長世さんは
(1885生-1945没)
国学者である
本居 宣長
(もとおり のりなが)さんの
家系に生まれながらも
音楽を志し、
東京音楽学校の
門を叩いたそうです。
あの有名な
「赤い靴」や
「七つの子」
「青い眼の人形」などの
童謡を始め、
芸術歌曲、歌劇、
器楽曲等を数多く
発表した方です。
本居さんのご遺族より
約900点にわたる
音楽資料を
寄贈されたものを
常設しています。
本居 長世さん自らが
記した楽譜や写真や
遺愛品など貴重な資料を
見ることができます。
また、
東京藝術大学学生による
演奏会も多数
行われています。
入館料か500円くらいで
楽しむことができます。
是非、一度ご覧に
なられることを
お勧めします。
話は逸れてしまいましたが、
今回の萬谷 衣里さんの
ピアノリサイタルの
縁をつけて下さったのは
何回もブログで
紹介させていただいている
森安 英憲さんです。
自身の職場に
多数、養護学校の卒業生を
雇用しておられる
とても素晴らしい方です。
以前にも紹介して
おりますが
森安さんと萬谷さんの
エピソードを
もう一度記します。
「養護学校でコンサートを」
~クラシックコンサートの思い出~
『「知的障害」という言葉もおかしいなと思いますが、
10年ほど前までは「精神薄弱」と言っていたそうです。
精神薄弱という言葉が
「当事者に不快感を与えるという理由もあり」
知的障害に変えられたそうです。
話変わりますが、私はピアノの音が大好きです。
あるときふと、養護学校の子どもたちに
プロのピアニストの演奏を聴かせてあげたいと思いました。
私は後先考えず、
大好きなクラシックピアニスト エリさんに
養護学校の子どもたちへの思いをメールで話しました。
10日連続でメールしました。ほとんど迷惑メールです。
そして「養護学校でピアノを弾いてほしい」と。
ドイツに住むエリさんはさぞかし驚いたことでしょう。
養護学校でプロのピアニストがクラシックコンサート。
この前代未聞の企画にエリさんは
「養護学校の子どもがクラシックを聴くのですか?」
と戸惑いを隠さず、
学校は「アニメソングとかじゃないと難しいだろう」
と不安を示しました。
私は子どもたちの感性を信じていました。
エリさんはドイツから帰国の翌日リハーサル、
その翌日本番、
それも学年ごとに3度の公演という
無茶なお願いを聞いてくれました。
・・・その日、子どもたちがくれた答えは
私の予想さえ超えました。
エリさんは何度も
「また養護学校に呼んでくださいね」と。
そして、その日に子どもたちが書いた感想文は、
1か月も先生方の手をわたってから、私の手元に届きました。
その感想文に私は何度も胸が熱くなりました。
この感想文を書いた子どもたちの精神が薄弱なのでしょうか?
この子どもたちを精神薄弱と呼んでいたのは、
私たちの心の貧しさの表れではないでしょうか。
コンサートのフィナーレを飾った
リストのハンガリーラプソディー第2番の躍動的なメロディーと、
別世界に入りこんだような子どもたちのことは、
いつまでも私の脳裏を離れることはありません。
そして子どもたちの心を
しっかり受け取ってくださったエリさんは、
ドイツから世界へ、子どもたちの心を
ピアノにのせて伝えていってくれることでしょう。
いつも大切なことを教えてくれる子どもたちに、
たまにはお返しを、と思った私でしたが、
子どもたちはやっぱり、
私たちに大切なことを教えてくれたのでした。
この日から、
私は子どもたちにお返ししようなんて気持ちは捨てました。
子どもたちがくれたものは、社会に返していこうと。
2009年10月2日
森安 英憲』
この時のことを
2009年
10月7日号の
毎日新聞にも
簡単に紹介されて
いました。
2009年10月2日に
奈良県立養護高等学校で
行われた
萬谷 衣里
ピアノリサイタルの
記事です。
抜粋します。
“ピアニストの萬谷さん演奏
県立高等養護学校“
『田原本町営森の県立高等
養護学校で、関西や首都圏
で活動するピアニスト、
萬谷衣里さん(27)の
コンサートが開かれ。生徒
143人が美しい音色に聴
き入った。
1年前から自身の職場で
同校生徒の実習を受け入れ
今年3月から県ジョブサポ
―ターとして活動している
森安英憲さん(43)が
「プロのピアノ演奏を聴か
せてあげたい」と、萬谷さ
んに依頼したのがきっかけ
で実現した。
参加した女子生徒は
「音色がきれいで、吸い込
まれそうな感じになった。
また、聴きたいと思った。」
とうれしそうに話した。
森安さんは「生徒は熱心に聴
き、ものすごく喜んでくれた。
これからも生徒が喜んでくれ
る企画を考えていきたい」と
話した。』
以上、毎日新聞抜粋了
その後
森安さんから頂いた
メールに
こう書かれていました。
『ちなみに余談ですが、
養護学校では140名の生徒全員と、
言葉を交わしサインをしてくれた
萬谷さんでした。
彼女は11月にデビューCD
「イーストサイドラプソディー」を
リリース(2800円)。
ルーマニア協会とかいうところから
出ているため、ショップには並んでいません。
リサイタル当日に
会場で販売しているかも知れません。
買って「サインしてください」と言えば、
CD面に気軽にサインしてくれると思います。
このCDには、
養護学校コンサートのフィナーレに使われた
「リスト作曲:ハンガリー狂詩曲第2番」が
入っています。』
昨日のリサイタルでは
森安さんが大好きな
このリストの
「ハンガリー狂想曲:第2番
:嬰ハ短調」は
演奏されませんでしたが、
リストの曲は
「子守歌S.198」
とても穏やかな
透明感のあるメロディに
魅せられました。
「愛の夢―3つのノクターンより
第3番「おお、愛しうる限り愛せ」
「詩的で宗教的な調べ
S173より 第7番「葬送」
深遠な楽曲を楽しませて
いただきました。
森安さんの仰せの通り
萬谷 衣里さんの
デビューアルバム
「イースト・サイド・ラプソティ~
リスト&エネスク」を
会場で買いました。
勿論、萬谷さんから
サインも頂いて
まいりました。(笑)
そのCDで
リストの
「ハンガリー狂想曲:第2番
:嬰ハ短調」を聴きました。
とても躍動的な旋律で
とても素敵な一曲です。
これから毎日聴けます。
とても楽しみです。
『今日は残りの人生の最初の日』
今日という一日を
浮き浮きとした
一日にすることが
できます。
それは自分の
心がけ次第なのです。
すばらしいものに
積極的に触れてみる。
その余韻は
途切れることなく
続く人生の
リサイタルのようです。
生かしていただいて
ありがとうございます。
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