昨日は、中国でファッション関係の店舗設計で
成功している友人が帰国して、
三軒茶屋の彼の事務所でビジネスの話をしたあとに、
食事をご馳走になりました。
彼は、30年ほど前に、台湾に渡り、一から、
台湾や中国本土のファッション業界の発展のために、
頑張ってきました。
また、評判を聞き付けた方たちから、
依頼されて飲食店等の設計も、
手掛け成功させている人で、
日本の多くのデパートが
台湾に進出する際にも
彼に依頼するほどのスーパー設計士です。
彼の設計での真骨頂は決して
妥協しないことに
あると思います。
施主が求めるものであれば、
世界中を視野に入れて、
どんな材料でも
どんな技法でも手に入れてきます。
また、どこの国に行っても、
ファッション業界に関わらず、
あらゆる業界に関心を示し、
常に研究を怠たりません。
一見、設計に関係ないようですが、
店員の接客マナーや
商品の並べ方、
なぜ流行っているのか、
又流行っていないのか。
斬新なデザインや
アイデア、
写真に撮ったりデッサンしたり
ビジュアライゼーションを高め
積極的に設計に取り入れています。
『設計士として、
ただ、図面を書くだけなら、
僕でなくてもできる。』
細部にわたって隅々まで配慮し
その実現のために全エネルギーをかけ
大きな仕事を成し遂げていく
彼の仕事の背景には
この仕事を愛していること
また、顧客に喜んでもらえることが
何よりも幸せであることにあると思います。
彼の関係した顧客の店舗は100%成功し、
評判が評判を呼び引っ切り無しに設計施工の
依頼が舞い込み、大忙しの日常を送っている。
彼は言う、
『今、僕の意を汲む中国人スタッフ10人ほどと、
業界に関係している外部の材料関係の工場の社長は
全員莫迦(ばか)ばかり、
損得関係なく仕事が好きで好きでたまらない。
ひとつの仕事を全力で成し遂げることは元より、
より良いものを作るためなら時間もお金も
関係の無い奴ばっかり!!』
まさしく、彼自身がその通りの人で、
こだわらない性格で無欲でさらに寛容で
とてもエネルギッシュな人で、
彼が話し始めると
夢や希望が周囲に満ち満ちてきます。
その場にいる全員が巻き込まれて、
笑いに包まれ積極・無限・超プラスの
空間が醸し出されていく、
いつまでもそこから立ち去りたくない
気持ちにさせられる人なのです。
精神世界にも精通しており、
人間の永遠性、
輪廻や神の表現者としての
自分の在り方も知っていて、
私としてはどんな話でも
楽に話すことのできる人の内のひとりです。
その彼が今の日本に警鐘をならす。
『昨今の日本は、
このままでいると
世界から取り残されていくのではないかと危惧する。
それは、すべてが規格化され
一定の枠に嵌め込もうとする考え方の蔓延だ。
例えば、自分の業界であったとしても、
今の日本から学ぶものが少なくなっている。
それは、グローバルな視点で
より良いものを取り入れる風土が
喪われていることだと思う。
施主がこんなものを造りたいと思う、
業者は、
それは素人のあなただから発想できるもので、
プロの目からすれば絶対にできることではないと、
出来ない理由をひとつひとつ並べて否定する。
だから、
プロが選択した
安全なこの規格を選びましょうと施主に妥協させる。
もちろん、国として政策上、
守るべき権益はあるのはわかる。
しかし、どんなものにでも、
業界団体や各組織が関わってきて、
価格の安定化とシステムや製品の規格化を進め、
外部からのいい製品・システムを
受け付けないよう圧力をかけてくる。
長い間、台湾と中国で仕事に携わってきて、
今や中国は一部のものを除いて、
ほとんどのものは世界の工場として
製造することができる力も技も持ってきた。
最初のうちは粗悪品も多く、
問題にならないと思っていたが、
最近の中国ではほとんどのものが
日本を凌駕している。
ファッション業界においても
ユニクロを筆頭にたくさんの
メーカーが中国で製品をつくっている。
ヨーロッパのブランド品のほとんどは中国でつくっている。
それは、いいものが安く出来るからである。
僕の仕事の店舗設計は、施主が求めるものは
どうしても造りたいと思っている施主の理念でもあるので、
絶対に造ってあげようと情報を求めてどんな所にも探しにいった。
その結果のほとんどは私を充分に満足させ、
この国のダイナミックさと奥深さをより感じずにはいられなかった。
大陸を横断しながら、100件も200件も回っていると
中にはすごい達人に出会うことができる。
一緒に考えてあげると期待に応えてくれる人たちである。
否、期待以上の成果もたくさん生み出してくれた。
施主の求めるものは規格品ではない、自分だけの物である。
いわゆる、ひとつひとつをオーダーメイドで造るのである。
それも、とびっきり安く。そんな達人たちをいろいろなパーツで、
例えば、家具やガラス製品や照明や壁紙や石等々を
造る人を工場を発見することができた。
台湾や中国の私が携わった店舗は、その努力とお蔭で、
そんな施主の理念が実現されている。
そこには、携わったすべての人たちの
成し遂げた喜びがある。
今の日本の店舗には残念ながら、理念が見当たらない。
かつて、終戦後、日本も今の中国のように世界を真似て
いろいろな製品を造ってきた。
暫くは粗悪品と揶揄されたこともある。
しかし、その後、世界を凌ぐ技術を持ち
世界第二位の大国にまで伸し上がってきた。
今の中国はその日本がたどった道を猛追して、
もはや抜き去ったものも少なくない。
そのことは認めて、
いい製品で安く流通できるものは、
受け入れる広い度量を持つこが
今の日本に必要だと思う。
私は、私が経験してきて培ってきたものを、
自分という小さな枠で使うのは
本当にもったいないと思っている。
お世話になった業界や日本に、
希望があれば使ってもらいたいと思っている。
日本の家に店舗に事務所に人が集うところに
オリジナルの創造力が開花し、
それも安く造ることができたら、
喜びの輪も広がっていくと思う。
それが実現できれば嬉しい!』
彼の言うように、
創造する力を喪い、
挑戦することをやめれば、
この日本に日本人に
活力は戻ってこないと思います。
成功することが
すべてではありません。
私たちは、
この世で大きいことはできません。
小さなことを
大きな愛をもって行うこと、
それが大切なのではないでしょうか。
そのことを、
学ばしてもらったように思います。
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